オリジナル作品:アメリカ
The Art of Foo Swee Chin: Consicous
- Neko Press
- 2001年7月
- FScWasteland

恋人に無理心中を仕掛けられ、かろうじて助かった女性。しかし、それ以降、彼女は元恋人の亡霊に執拗に悩ませるようになる。元恋人は、彼女をなんとしても死の世界へ誘おうとしていた…。
記念すべきFScアメリカデビュー作。刊行のきっかけは、Neko Pressのオーナー、Billy Martinezが、彼女のWEBサイトを見てコンタクトを取ったことだったという。よくもまあ、当時知る人ぞ知るという存在だった彼女に注目したものだ。ファンとしては彼に足を向けて寝られない。
収録作品は、男の亡霊につきまとわれる女のお話「Guilt」をはじめ、短編2作、ピンナップ3点。「Guilt」は非常に難解。男が死、女が生を表し、死の誘惑とそれへの抵抗を描いているのはわかる。しかし、男と女のきずなのしるしが女を死へ追いやるのは、何の暗喩なのだろう? そして、死を迎えたあとの女の行動の意味は? 一方、スランプに陥ったライターの強迫観念を描く「Writer's Block」は、ナンセンスものとして楽しく読める。
サブタイトルの「Consicous」はFScによる造語。ちなみにメインタイトルの「The Art of ~」は気恥ずかしいらしく、彼女自身はもっぱらサブタイトルを用いている。上の画像は初版のもの。現在は下の画像の新装版が刊行されている。「Guilt」と「Writer's Block」はTPB「héofigendlic loðrung」にも収録されている。

A Lost Stock of Children
- Neko Press
- 2002年11月27日
- FScWasteland

広漠とした雪原をさまよい歩くふたりの女性。友人が経営するペットショップを訪ねた彼女たちは、どういうわけか、この異世界へ迷い込んでしまったのだ。元の世界への出口を、彼女たちは必死に探し求めるのだが…。
「Nightmares & Fairy Tales」で一躍注目の人となったあとに刊行された、Neko Pressにおける第2作。この作品で初めて彼女の世界に触れた人も少なくないだろう。つらいお話が多い彼女の作品のなかでは、ユーモアに満ちていて、気軽に読めるもののひとつ。とはいえ、意味を読み取ろうとすると、これも難解だ。異界漂流ファンタジーとしてほとばしるイメージを楽しむのが正解なのだろうか?
「muZz」の重要キャラクター、ファーリーとリーリーが初登場した作品でもある。現在はTPB「héofigendlic loðrung」にも収録されている。
Zeet
- SLG
- 2003年6月4日
- FScWasteland

ある少女の耳垢から生まれたクリーチャー、ジート。獰猛だが自分には従順なこの怪物と、少女は不承不承一緒に暮らすことになるのだった…。
「Nightmares & Fairy Tales」を刊行しているSlave Labor Graphics(SLG)での第1作。エドワード・ゴーリーのファンらしい、アルファベットブックの形を借りた小品で、“Z”から始まるのがひねくれていて楽しい。
絵のクオリティは彼女の作品のなかでもトップクラス。豊かなイマジネーションを満喫することができる。
chimney 25
- SLG
- 2003年12月3日
- FScWasteland

クリスマスを間近にひかえた夜、猫の亡霊と記憶を喪失した怪物の亡霊が街角で出会う。怪物の亡霊の正体はサンタクロースに違いないと信じ、猫の亡霊は彼を巨大なクリスマスデコレーションが飾られたショッピングモールに案内する。それは惨劇のはじまりだった…。
クリスマスを題材とした短編4本、「Lost」「The Wait」「The Last Package」「From Point A to Point B」を収録。もちろん、ふつうのホリディものに見られるぬくもり、慈しみとは無縁の世界。人がばたばた死んでいくが、命のはかなさよりもむしろつまらなさが印象に残る。FScのダークサイド全開だ。クリスマスプレセントとしてこれほどふさわしくない本もないだろう(笑)。
一部の作品が美しいカラーなのは、ファンにとってうれしいところ。
mince
- Neko Press
- 2003年12月17日
- FScWasteland
- 翻訳

いつも想像上の友人とともにいる、ひとりの少年。自分は無価値であると思えてならない彼は、友人たちの助けを借り、自傷行為を繰り返すのだった…。
自傷行為は自殺とはまったく異なる、むしろ自分の生を確認するための行為だというが、彼の周囲の人々はそれをまったく理解しようとせず、“死にぞこない”とののしりさえする。少年の苦しみもさることながら、この救いのない構図がいたいたしい。投身自殺未遂の前に少年がもらすひとことは、FScの作品に共通するキーワードだろう。
最後の場面をどう解釈するかによって、物語の後半の読み方がまったく異なることでも知られている。
現在はTPB「héofigendlic loðrung」にも収録されている。
de sketchitoes
- Neko Press
- 2004年6月30日
- FScWasteland

ラフ画集。気ままに描いたものを編集意図などとくに加えず並べただけのものなのだが、1点1点の密度がかなり濃く、なかなかおもしろい。社会不適応、自傷行為といったつらい主題が多いわりに、明るく乾いた印象を受けるのが不思議なところ。
ファン限定であることは確かだが、逆に言うと、本格デビューからまだ2年あまりしか経っていなかった彼女が、すでにこういう企画を成り立たせるファンを獲得していたのだ。
アイデアスケッチであるにもかかわらず、漫画よりも緻密に描き込まれているのも興味深い。ふつうは反対だろう。つまり、彼女は漫画を制作する際、意識的にラフに、あらあらしく描き飛ばしているのだ。
per skin par soul
- Neko Press
- 2005年3月2日
- FScWasteland

見知らぬ少女に拉致され、身体を切断される少年。少女によると、もともと彼の魂は彼女のもので、少女をだまして奪い取ったものだという。そのようなことをした覚えはないと抗弁する少年をよそに、少女は彼の身体で饅頭を作り始めるのだった…。
グロテスクかつユーモラスな小話。ネタバレをさせてもらうと、この少年は少女を殺害した化け物ではなく、少女の実の弟だったのだ。その気になれば耽美的に扱うこともできそうな題材だが、FScは人肉饅頭という典型的な中華ゴアに仕上げた。おかげで、読者は顔をひきつらせながら笑うしかない。
現在はTPB「héofigendlic loðrung」にも収録されている。
thwart thus
- Neko Press
- 2005年12月7日
- FScWasteland
- 翻訳

ある実験プロジェクトの試料として、人間の女の子の身体に植えつけられた魂の物語。天使の白い翼から悪魔の黒い翼へ変わったときの周囲の反応、窒息死するさいの意識の動き、性転換が意識へ与える影響などさまざまな過酷な実験に従事した彼女だったが、その事実が人間の両親に知られることだけは耐えられなかった…。
難解だが、悲痛で心揺さぶる作品。FScの傑作のひとつだ。本来人間などとは何の縁もなかった彼女が最後の選択をした理由を思うと、胸が潰れそうになる。
現在はTPB「héofigendlic loðrung」にも収録されている。
héofigendlic loðrung
- Neko Press
- 2007年4月25日

Neko Pressから刊行された6作品とアメリカデビュー前の3作品をまとめた単行本。それぞれの作品にスケッチなどの資料とFScによる簡単な解説が添えられている。彼女の足取りを追ううえで重要な「3rd i」を英語で読むことができるのはとりわけありがたい。
収録作品は以下のとおり。
- Guilt (初出:「Consicous」)
- Writer's Block (同上)
- A Lost Stock of Children
- mince
- per skin par soul
- thwart thus
- 3rd i (初出:「三個女生」)
- Scarecrow
- Blind
入手方法
Neko Pressの作品
同社のWebストアから購入できる。支払いにはPaypalのアカウントが必要。
SLGの作品
同社のeショップから購入できる。「Chimney 25」はAmazon.co.jpでも取り扱っている。
(2007年11月現在)